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症状固定とは?後遺障害慰謝料への影響は?

2020年10月21日更新

症状固定とは、治療を続けても改善が見込めない状態のことです。症状固定のときに残っている後遺症によって、後遺障害の等級が認定され、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金を受け取ることができます。

症状固定とは、どういうこと?

症状固定とは、病院での治療を続けても「これ以上は良くならない」という状態になることです。交通事故の手続きとしては治療終了を意味します。

たとえば交通事故で、足を骨折したとしましょう。骨はくっついたものの、何度治療を受けても痛みが消えないといったことがあります。そういった「一般的な治療をしてもなかなかよくならない状態」が「症状固定」です。

なぜ症状固定をしなければならないのか?

症状固定を行うのは、治療費や休業補償、慰謝料などの賠償金を計算するためです。

症状固定になるまではケガの治療中なので、その期間の治療費、休業補償、傷害慰謝料、通院交通費などを、交通事故の加害者側に請求することができます。しかし症状固定になると治療終了なので、それ以降の治療費や休業補償などは請求できません。

症状固定の時点で残っている症状については「後遺障害」となります。そして後遺障害等級に応じて、後遺障害慰謝料、逸失利益などを請求することになります。

後遺障害等級の認定では、症状固定後にどんな症状が残っているかを調査して、等級審査を行います。つまり症状固定を行わないと、後遺障害等級の申請ができないということです。

症状固定の判断基準は?誰が判断する?

症状固定の判断を下すのは、治療に当たっている医師です。ただ、ケガの状態は人によって違うので、「こうなったら症状固定です」という明確な基準があるわけではありません。

長く治療を続けていると、加害者側の保険会社が「そろそろ症状固定にしてください」と申し入れをしてくることがあります。保険会社としてはいつまでも際限なく治療費を支払うわけにはいかないので、そういった申し入れと同時に治療費の支払いを打ち切ってしまうこともあります。

症状固定は先延ばしできる?

症状固定の診断は、治療に当たっている医師がすることです。保険会社が「症状固定にしてほしい」と言っても、被害者側が従う必要はありません。保険会社からの治療費が打ち切られても、自費で治療を続けて、症状固定の時期を先延ばしにすることもできます。

症状固定は、損害賠償を請求する上で重要な意味をもちます。医師とよく相談することはもちろん、できれば交通事故の損害賠償経験が豊富な弁護士に相談して、被害者にとってベストな時期を見極めたいものです。

症状固定日とは?その日付にはどんな意味がある?

症状固定の際には、治療に当たった医師に「後遺障害診断書」を書いてもらいます。その診断書の日付が「症状固定日」となります。

症状固定日を決めるときに注意しておきたいのは、「症状固定日以降の治療費や休業補償は、一切請求できない」ということです。交通事故のケガが原因で仕事を休んだ場合、そのために減った収入を補填するのが休業補償です。それが症状固定日以後は、支払われなくなってしまうのです。

たとえば交通事故のケガで以前の仕事ができなくなったとしても、症状固定日より後は休業補償が受けられません。すると最終的な賠償金を受け取るまでの期間は、生活に困る事態になってしまいます。これはかなり深刻な問題です。生活費の工面に悩む交通事故被害者の方は、決して少なくありません。

症状固定日は、できるだけ後のほうがいい?

判断が難しいところですが、症状固定日を後にずらしたために損をするケースもあります。

たとえば症状固定となっても、それから自費で治療を続けることで、わずかずつでも回復してくることがあります。そして症状が良くなれば、後遺障害の等級は下がってしまうケースもあるのです。

症状固定日の目安は?

ケースにも拠りますが、事故から半年くらいだと考えてください。

一番判断が難しいのは、ケガの治療を始めてから4~5ヶ月で、保険会社から症状固定の話が出るケースでしょう。保険会社からの申し入れに従ったほうがいいこともあれば、さらに1~2ヶ月は自費で治療を受けて、それから症状固定に持ち込んだほうがいいこともあります。

症状固定日をいつにするかは、ケガの状態だけでなく、被害者の生活や家庭の状況、将来的な展望までを含めて判断する必要があります。そのため、医師とよく相談するだけでなく、損害賠償のプロである弁護士に助言を求めるのがいいのではないでしょうか。

もし症状固定後に後遺症が悪化したら?

法律上は症状固定後に後遺障害が悪化することはあり得ません。万が一、症状固定後に別の後遺障害が見つかったとしても、交通事故との因果関係が証明できないので、損害賠償の請求はできないと思った方がよいでしょう。

考えられるのは、たとえば事故直後は首に激痛があって治療を受けたものの、首の痛みが治まってきたころに「じつは手首も痛かった」と気づく、といったケースです。交通事故から長くても1ヶ月以内に症状を訴えなければ、事故によって受けたケガだとは認められません。ですからこのケースでは、首の後遺障害についての慰謝料は請求できても、手首のケガの慰謝料は請求できないことになります。

症状固定後に後遺症が治ってしまったら?

反対に、症状固定後に自費で治療を続けた結果、後遺障害が回復してしまった場合はどうなるでしょう?その場合も、後遺障害に対する賠償金が下がってしまうことはありません。損害賠償の世界では、あくまで症状固定日の状態を元に慰謝料が支払われます。

つまり症状固定日の後は、後遺障害が良くなろうが悪くなろうが、交通事故の賠償金交渉には一切関係ないということです。

症状固定時にするべきことは?

症状固定になった時点で、治療に当たった医師に「後遺障害診断書」を書いてもらいます。後遺障害診断書の内容によって、後遺障害の等級が認定されることになります。

後遺障害等級の審査には「後遺障害診断書」の内容が重要になってきます。診断書の書きかたによっては、実際の後遺障害よりも低い等級にしか認定されないこともあります。そういった事態を避けるためには被害者側から「診断書には、こういった内容について書いてほしい」とお願いすることも大切です。

ただ被害者にとって「後遺障害等級を正確に審査してもらうために、どんな診断書が必要なのか」の判断は難しいことでしょう。そんなときに被害者の力になれるのが、法律のプロである弁護士です。

また後遺障害の申請をきちんと被害者請求で行う際にも弁護士の知識が役に立ちます。そしてもちろん、後遺障害等級を取った後に具体的な賠償金の交渉をするのも、交通事故の経験が豊富な弁護士に任せるのが最も良い結果につながります。

後遺障害の実情にあった慰謝料をきちんと受け取るためにも、ぜひ弁護士にご相談ください。

大切なのは保険会社まかせにせず、しっかりと被害者請求することです。症状固定後に受け取れるお金はつまり、交通事故の後遺障害に対する賠償金です。ですからまず後遺障害等級の申請をして、できるだけ高い等級で認定を受ける必要があります。

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