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下半身まひで1億6千万円の賠償金が認められた交通事故

今回取り上げるのは交通事故による脊髄の損傷で下半身まひになった事例です。裁判の結果、被害者の方には1億6千万円以上の賠償金が認められました。

下半身まひとなった事故の発生状況

被害者の方は16歳の女子高校生です。原付バイクで信号のない交差点に進入したところ、左から来た経トラックに衝突されて転倒、全身を強く打って重傷を負いました。救急車で運び込まれた病院での診断は以下のとおりでした。

  • 第三・第四胸椎骨折
  • 脊髄損傷
  • 頭部・頸部・腰部・胸部・腹部打撲など

下半身まひとなった事故後の経過

被害者の方は3年にわたる入通院治療を行いました。しかしこれ以上の回復は見込めないと判断されて「症状固定」となりました。医師による後遺障害診断書には「脊髄損傷による下半身麻痺 」と記されました。

この診断書をもとに後遺障害等級の申請を行ったところ「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として2級3号(※)の後遺障害等級が認められました。後遺障害等級の中でも非常に重いものです。

(※)現在の後遺障害等級では「要介護 2級」にあたります。

下半身まひとなった事故の賠償額を解説 

被害者の方は下半身まひとなり、介護なしでは日々の生活が送れなくなってしまいました。そのため裁判では多額の賠償額が認められました。ただ、ひと口に交通事故の賠償金と言ってもその中には慰謝料をはじめとして様々な費用が含まれています。ここでは主なものについて解説します。

下半身まひの後遺障害慰謝料は? 

後遺障害の慰謝料は後遺障害等級によって決まります。下半身まひの場合は生活するうえで「常に介護」が必要か「随時介護」が必要か、それとも必要ないかによって等級が違ってきます。
被害者の女性は車椅子での生活ではあるものの、本人の努力で入浴やトイレや料理などを一人で行うことができるようにはなっていました。ただし掃除や洗濯などの作業の一部については一人ではできないことから「随時介護が必要」と判断されて2級3号となりました。

2級3号の後遺障害慰謝料は自賠責保険の基準では約1100万円です。ただし弁護士が入って交渉したり裁判をした場合にはその額は倍以上になります。これを弁護士基準といいます。この事例でも最終的に2600万円の後遺障害慰謝料が認められました。

下半身まひの将来介護費は? 

被害者の女性は随時介護が必要と判断されました。ここで問題になるのが今後の介護費用です。現在は被害者の祖母が身の回りの世話をしているものの、将来は専門の人を雇う必要があるという主張により、1日あたり4,500円の将来介護費が認められました。平均寿命から算出した余命62年分の介護費は合計3125万円となりました(法律で定められた将来の利息を引いた金額です)。

下半身まひとなった高校生の収入の補償は?

弁護士は裁判で、被害者の通っていた高校は進学校で、しかも成績優秀であったことや、彼女の父親の学歴から事故に遭わなければ当然大学に進学して就職していた可能性が極めて高かったと主張しました。客観的な資料を揃えて、こうした将来を見越した主張ができるのが良い弁護士だと言えます。
判決ではこの主張が認められ、大学卒の平均賃金に基づいた将来の収入の補償(逸失利益と言います)として合計7708万円が認められました。

下半身麻痺に対する最終的な賠償金額

最終的な賠償金額は以下のとおりです。

項目賠償額
治療費費314万円
諸雑費58万円
医療器具代239万円
入通院付添費644万円
将来介護費3125万円
通院交通費21万円
車椅子代242万円
車両購入改造費89万円
家屋改造費1175万円
逸失利益7708万円
傷害慰謝料400万円
後遺傷害慰謝料2600万円
合計1億6527万円

今回の事故では被害者側にも過失があったため、5対5の過失割合に基づいた 金額で実際の賠償は行なわれました。

交通事故の被害者に寄り添う弁護士の役割 

弁護士イラスト

今回の事例では裁判が行なわれたので、当然のことながら弁護士が被害者を弁護するために法廷に立ちました。ただし交通事故では裁判までは行なわず示談で終わるケースも多くみられます。そうした場合も含め、被害者の方にとっての弁護士の役割とはどんなものでしょう? 

保険会社との交渉を行う

事故の相手方の保険会社との交渉では被害者のご家族にかかるプレッシャーは相当なものがあります。保険会社は支払い金額を少しでも下げたいので、交渉は厳しく難しくなるのです。弁護士が交渉を引き受けることで、被害者やご家族が直接保険会社から連絡を受けることは一切無くなり、プレッシャーから解放されます。

将来の不安要素を大幅に軽減

当面の治療費以外の保険金はすぐには支払われません。長期にわたる治療の後に保険会社との交渉を経てようやく支払われます。保険金を受け取るまでに数年を要する事例も珍しくありません。当面の生活費や将来について大多数の方が不安を感じるのではないでしょうか。
弁護士が入ることで、これまでの経験から保険金や慰謝料の見通しを立てることができます。将来についての不安が大きく軽減されます。

弁護士の基準で金額交渉をする

重い後遺障害が残る事故の場合は、慰謝料はもちろん将来の介護費用や逸失利益の金額も含めて、支払われる保険金の金額はとても大きなものになります。お金で事故の苦痛を消し去ることはできませんが、正当な賠償金を受け取ることは被害者やご家族にとって重要なことであり、正当な権利でもあります。

そして、弁護士を入れて弁護士基準で交渉した場合と、相手の保険会社にすべて任せた場合では、最終的に受け取る金額に億単位の差が出るケースがあることは、ぜひ知っておいてください。弁護士基準で交渉することがとても重要です。

被害者とご家族に寄り添い、その苦しみを少しでも軽減するため徹底的に交渉する。それが交通事故を扱う弁護士の役割だと私たちは考えています。

本事例は平成8年の判例をもとに構成されたものです。本事例は本事務所により提訴された事件とは異なっています。特定を避けるため、実際の事例とは若干異なった記載をしています。あらかじめご了承ください。

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