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脊髄損傷(片足麻痺)の実例を紹介|後遺障害5級、賠償金約9800万円

2021年8月26日更新

今回は交通事故による脊髄損傷(片足麻痺)で、アズール法律事務所に相談をいただいたTさん(59歳 男性)の実例をご紹介します。同じように交通事故被害で悩んでいる被害者とご家族の方のお役に立てば幸いです。

なお、具体的な相談が必要な場合には、どうぞお気軽にアズール法律事務所にお問い合わせください。

脊髄損傷の原因となった交通事故

バイクに乗っていたTさんが交通事故にあったのは、交差点で信号待ちをしているときでした。

信号は赤だったにもかかわらず、後ろから走ってきた乗用車が猛スピードのまま突然Tさんのバイクに追突しました。Tさんの体は大きく空中に浮き上がり数メートル先の道路上に落下しました。意識ははっきりしていましたが、全身に激しい痛みを感じ、下半身が全く動かないことが自分でもわかったそうです。
Tさんが乗っていたバイクは15メートルも先のコンクリート壁に激突して大破、全損となりました。

脊髄損傷の診断と治療

救急病院に搬送されたTさんは「第一腰椎椎体骨折、脊髄損傷」と診断されました。つまり背骨の腰の部分が折れて、その中を通る神経の束「脊髄」が傷ついてしまったことを意味します。
脳からの信号を下半身に伝える神経が損傷してしまったため、下半身が麻痺して動かすことができない状態でした。また、背中から下半身に激しい痺れや強い痛みがあったといいます。

背骨についてはボルトで固定する治療が行われましたが、損傷した脊髄の神経については具体的な治療方法がなく、痛みを和らげるための薬の投与などを行うことしかできませんでした。

事故から3ヶ月が経った頃、Tさんはリハビリテーションを行うために転院しました。なんとか日常生活を取り戻そうと、杖を使った歩行訓練などのリハビリを懸命に行いました。しかし片足がほとんど動かないため、自力で歩くことはなかなか難しく、車椅子に頼る生活を余儀なくされたまま退院となりました。

脊髄損傷をアズール法律事務所に相談

アズール法律事務所がTさんからの電話を受けたのは、事故から1ヶ月半後のことでした。下半身麻痺の症状が一向に回復せず、仕事も長期休職せざるを得なかったTさんは、これからの収入や社会保険の支払いに不安を感じ、ネットで調べていた際にアズール法律事務所を見つけたということでした。

電話を受けてくれた相談員の方が話しやすい雰囲気だったので、こちらの状況や心配事を思いつくままに話しました。細かいことまでしっかり聞いてもらえたのでとても安心しました。弁護士の先生はさすがに詳しくて、すぐに状況を理解してもらえました。

アズール法律事務所の弁護士は、今後の見通しをTさんにお話したうえで、弁護士を通して相手側の保険会社と損害賠償の交渉したほうが、金銭的にも手続き的にも有利にことが運ぶということをお伝えしました。
Tさんは弁護士の話に納得して、この後の手続きや交渉をすべてアズール法律事務所に任せることにしました。

症状固定と後遺障害

Tさんは退院後も通院治療を続けましたが、医師と弁護士の判断で、事故からちょうど10ヶ月のタイミングで症状固定となりました。
「症状固定」というのは保険制度の用語で「治った」ということを意味するわけではなく、これ以上治療を続けても「大きな回復は望めない」状態のことをいいます。

つまり、ここで治療にいったん区切りをつけて、残った症状については後遺障害として賠償金の請求手続きに進むことを意味します。
この時点でのTさんに残っていた症状は以下のとおりです。

  • 左足の運動麻痺(自力では歩けない)
  • 両足の感覚麻痺
  • 手足のしびれ、痛み
  • 膀胱・直腸の障害(自力では排尿・排便のコントロールができない)

こうした後遺症で賠償金を請求するためには、後遺障害として等級認定を受ける必要があります。確実に等級がとれるよう、弁護士は診断書をはじめとする大量の書類を準備、精査して審査機関に提出しました。

後遺障害の認定はすべて書類で審査されます。したがってしっかりと的を得た書類を用意しなければなりません。記載内容などにもノウハウがあるので、経験のある弁護士や法律事務所を頼っていただくのがやはり確実です。提出した書類に不足や不備があると正しく認定されない場合もありえます。

脊髄損傷で後遺障害5級に認定

コロナ禍のせいもあり、後遺障害の等級認定には時間がかかりました。症状固定から数えて5ヶ月後にようやく等級認定の通知が届きました。結果としては狙い通り「後遺障害5級2号」に認定されました。

片足の麻痺(下肢の単麻痺)の場合は、麻痺の程度によって5級、7級、9級が認定されます。Tさんの場合は左足の麻痺の他にも手足のしびれや排泄機能の障害も見られることから、総合的な判断として最も高い5級2号が認定されたものです。
弁護士による的確な資料の提出が功を奏したかたちとなりました。

後遺障害
5級2号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
具体例:下肢に高度の単麻痺が認められるもの

後遺障害
7級4号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
具体例:下肢に中等度の単麻痺が認められるもの

後遺障害
9級10号

「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
具体例:下肢に軽度の単麻痺が認められるもの

脊髄損傷で約9800万円の賠償金

後遺障害等級が決まっただけでは、慰謝料などの賠償金を受け取ることはできません。保険会社との示談交渉で金額を決定する必要があります。
もちろん交渉はアズール法律事務所の弁護士がすべて代行しました。保険会社はなんとか支払い金額を抑えようとします。したがって、交通事故に関する知識と経験を持つ弁護士が交渉することで、なんとかまともな金額を獲得することができるのです。

最終的に総額で1億円近い賠償金が認められました。Tさんとしても、やっとひと区切りがついて、これからの生活についても目処が立ったことで、安堵していただくことができました。

項目 賠償金額
治療費 約1322万円
通院交通費 約8万円
入院雑費 約22万円
通院介護費 約35万円
その他雑費 約26万円
休業損害 約400万円
傷害(入通院)慰謝料 約232万円
後遺障害慰謝料 約1400万円
逸失利益 約4146万円
将来介護費 約1442万円
将来治療費 約85万円
将来雑費 約32万円
自宅改造費 約650万円
合計 約9810万円

弁護士による解説

本件のポイントは、脊髄損傷による片足麻痺についてできるだけ高い後遺障害等級をとること、示談交渉で保険会社に弁護士基準の慰謝料を認めさせること、そして将来の介護費や治療費をしっかりと支払わせることの3つでした。

後遺障害等級の認定

脊髄損傷による片足麻痺(下肢の単麻痺)でできるだけ高い「後遺障害等級」の認定を受けるために、審査機関に提出する書類や資料には万全を期しました。
後遺障害診断書に加えて治療中の経過診断書、腰椎や脊髄の損傷が確認できるCT画像・MRI画像も用意しました。

さらに、被害者の方による日常生活状況報告書と弁護士からの意見書も添えることで、片足麻痺の等級としては最も高い後遺障害5級に認定されました。

弁護士基準の慰謝料

慰謝料については後遺障害等級ごとの基準で、だいたいの金額が決まっています。そして保険会社の基準ではなく「弁護士基準」で算出することで金額が倍近くにまでなる場合がほとんどです。

弁護士が入って交渉すれば、保険会社は弁護士基準の金額を認めざるを得ないという場合が多く、今回もこちらの要求どおりの慰謝料が認められました。

将来の介護費、治療費、住宅改造費

Tさんの場合、今後もある程度の介護が必要になります。また、痛みやしびれを抑えるための薬や排泄をコントロールする薬の投薬治療も続けなければなりません。車椅子で生活できるように住宅を改造する必要もあります。
こうした将来必要になる費用についても、賠償金として請求し認められました。

示談が成立してしまうと、後から追加費用を請求することは基本的にできないので、漏れのないようにしっかりと請求することが重要です。

まとめ

突然追突された交通事故のせいで、自分の身体が思うように動かせなくなってしまって、いろいろと本当に悔しい思いをしました。

しかし、後遺障害に詳しい弁護士の先生とめぐり会って、話を聞いてもらい献身的にサポートしてもらったことで、だいぶ楽になった気がします。
もとの身体には戻れませんが、十分な賠償金を受け取れたので、今後の生活にも目処が立ちました。

中原先生をはじめ、アズール法律事務所の皆さんには親切に対応していただき感謝しています。ありがとうございました。

脊髄損傷による下半身の麻痺は交通事故による後遺障害の中でも特に深刻なもののひとつです。これまでアズール法律事務所にご相談いただいた被害者の方やご家族も、それぞれが本当に大変な思いをされています。

脊髄損傷でできるだけ高い後遺障害等級を獲得し、適正な賠償金を受け取るためには、医学的そして法律的な専門知識がどうしても必要になります。脊髄損傷に精通した弁護士によるサポートがやはり欠かせません。

アズール法律事務所では重症交通事故のエキスパートとして、被害者とご家族の方々に寄り添い、適正な賠償金を払おうとしない保険会社と戦ってきました。

もし、ご自身やご家族が交通事故による被害で悩んでいるなら、できるだけ早めにご相談ください。きっと解決の糸口が見つかるはずです。


※本記事では個人の特定を避けるため、内容の一部を変更しております。ご了承ください。

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